日本看護技術学会誌
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研究報告
日常業務の中で行われている看護技術の実態
-第2報 医療技術と重なる援助技術について-
菱沼 典子大久保 暢子川島 みどり
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2002 年 1 巻 1 号 p. 56-60

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抄録

 実際の日常業務や教育の中で, 看護技術がどのように提供されているのか, あるいは教えられているのか, またその技術が適応される理由は何なのかは必ずしも明らかではない. 今回常々疑問に思っていたいくつかの看護技術について, 実態調査を行った. バイタルサイン測定, 点滴漏れのときのケア, 筋肉内注射時の脂肪厚のアセスメントなどに関する26項目からなる無記名の調査用紙を作成した. 2001年5月~10月にかけて, 全国の各種研修会の参加者1,932名にアンケート用紙を配布し, 1,414名 (回収率73.2%) の回答を得て分析した. 回答者は経験年数5年未満から35年以上までの看護師, 看護教員, 准看護師, 助産師, 保健師であった.
 今回の調査結果から, 脈拍, 呼吸, 体温に関して多様な測定方法が用いられていること, またその測定値に対する判断基準も1つではない現状が明らかになった. 留置カテーテル抜去前のクランプテストは, 必ず行うから無駄なので行わないまで, さまざまな状況が示された. 発熱時に約8割がクーリングを行っていたが, その目的はバラバラであった. これらの結果は, 看護技術の根拠あるいは効果の研究の必要性が高く, 研究に裏付けされた看護技術の基準を作成し, 看護職に共通する技術にしていかなくてはならないことを改めて示している.

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© 2002 日本看護技術学会
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