日本看護技術学会誌
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研究報告
点滴スタンドの高さと支柱把持高が健康な60~70歳の歩容に与える影響
蜂ヶ崎 令子
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2012 年 11 巻 2 号 p. 38-47

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抄録

 本研究の目的は,点滴スタンドを操作しながら歩くこと,およびその点滴スタンドの高さと支柱を把持する高さによって,中高年および高齢者の歩容はどのような影響を受けるのかを明らかにすることである.
 健康な60歳から70歳 (平均66.3歳,SD2.3) までの男性8名,女性33名 (計41名) を対象に,点滴スタンド歩行が歩容に与える影響を運動学的分析と主観評価より検討した.さらに,点滴スタンドをより安全かつ適切に使用するための,点滴スタンドの高さおよび支柱を把持する高さの設定について検証した.
 その結果,点滴スタンド歩行は通常歩行と比較して,歩行速度が低下し,歩幅が狭まり,歩調が減少し,腕振り角度が小さくなり,高齢者や転倒経験者の歩容に近づいていた.そのなかでも,歩容,歩行姿勢に及ぼす変化が最小であったのは,点滴スタンドの高さは使用者の身長の110%,支柱を把持する高さは使用者の身長の60%または70%の設定であった.また,主観的評価において操作性がよく,身体的負担が少ないと感じていることが分かった.点滴スタンド歩行は高齢者や転倒経験者の歩容に近づくこと,点滴スタンドの高さは身長の110%,支柱を把持する高さは身長の60%または70%が望ましいことが示唆された.

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© 2012 日本看護技術学会
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