日本看護技術学会誌
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11 巻 , 2 号
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原著
  • ─循環動態および自律神経活動指標に対する効果による足浴との比較─
    金子 健太郎, 尾形 優, 熊谷 英樹, 山本 真千子
    2012 年 11 巻 2 号 p. 4-11
    発行日: 2012/08/20
    公開日: 2016/07/08
    ジャーナル フリー
     蒸しタオルによる足部への温罨法 (以下,蒸しタオル法とする) の生理学的効果と,既報の足浴による効果とを比較した.若年健常男子 19名 (平均年齢 21.3 ± 3.4歳) を対象に,心拍数と血圧,体表温 ・ 皮膚血流量,心拍変動 (heart rate variability :HRV),圧受容器反射感受性 (baro-reflex sensitivity : BRS) 指標を測定した.蒸しタオル法は,安静臥床位 15分後に,加温 ・ 加湿したフェイスタオルを両足にそれぞれ4枚で 15分間被覆する方法で実施した.各測定値の観察は,蒸しタオル法前から蒸しタオル法後 30分間まで連続して行った.その結果,蒸しタオル法は,全身循環に負荷をかけることなく,末梢循環を促進,維持させ,自律神経活動では,交感神経活動を賦活化させることなく,副交感神経活動を亢進させることが確認できた.また,蒸しタオル法と足浴法を比較した結果,ほとんどのパラメーター間で統計学的に有意差は認められなかった.したがって,蒸しタオル法は少なくとも今回の方法に従えば,足浴に代わる方法として用いることが可能であると考えられた.
研究報告
  • 中村 昌子
    2012 年 11 巻 2 号 p. 12-17
    発行日: 2012/08/20
    公開日: 2016/07/08
    ジャーナル フリー
     本研究は,実践の機会が少ない現状において,基礎看護技術を身につけさせる意義を確認するため,看護系大学女子学生2年生,4年生各5名計10名を対象に,「浣腸」と「導尿」の技術練習前後の動作分析を行い,その変化を明らかにすることを目的とした.結果,技術練習前は2年生,4年生とも動作の連続性には欠けたが,カテーテル挿入の長さや薬液注入の速度は,記憶され実施できていた.技術練習後では,2年生,4年生とも動作の連続性が増し,利き手動線は集約し,かつ4年生よりも2年生の動線範囲のほうがより集約していた.
     以上より,学習後,見学や体験の機会が少なく時間が経過した場合でも,基礎看護技術を1人でできるまでに習得していれば,同じ条件下では容易に想起し実施できることが推察された.
  • 大橋 久美子
    2012 年 11 巻 2 号 p. 18-27
    発行日: 2012/08/20
    公開日: 2016/07/08
    ジャーナル フリー
     近年,簡略化される「モーニングケア」の概念の特徴を明らかにし,看護におけるモーニングケアの意義を検討する.概念分析の方法としてRodgersのアプローチ方法を用いた.計73文献を対象に属性,先行要件,帰結,代替用語 ・ 関連概念を抽出して分析した.「モーニングケア」の属性として【早朝に日常的に行われる基本的な援助】【一日の活動開始準備のための援助】【朝の生活行動援助】【組織化された複合的援助】【個別的な援助】の5カテゴリー,先行要件として【夜から朝への環境変化】【早朝の活動開始阻害要素】【患者要素】【看護師要素】【患者―看護師関係】【ケアの背景】の6カテゴリー,【快適感】【今日への活力】【活動性の向上】【生活と健康の改善】【不適切なケア内容による快適感の阻害】の5カテゴリーが抽出された.本概念の特徴を踏まえ,モーニングケアとは「一日の活動開始準備のために早朝に行われる基本的な看護援助であり,患者の個別性に応じて複数の生活行動を組織化して提供していく日常生活行動援助」と定義し,健康の回復にかかわる看護上の意義が示唆された.
  • 加藤 京里, 菱沼 典子, 田上 恭子, 加藤木 真史, 細野 恵子, 田中 美智子, 留畑 寿美江, 丸山 朱美, 酒井 礼子, 井垣 通 ...
    2012 年 11 巻 2 号 p. 28-37
    発行日: 2012/08/20
    公開日: 2016/07/08
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,4週間の排便記録を通して排便パターンの実態を調査し,排便状態の判断基準を検討することである.20歳以上の男女に4週間にわたり排便ごとに便形 (水様便,泥状便,普通便,硬便),排便量 (母指頭大,手拳大以上と,その中間) について排便記録をつけてもらった.
     排便記録は便宜的標本抽出にて224名より回収した.データに不備があるものと疾患による影響が考えられる5名の記録はのぞき,男性50名,女性169名の計219名 (平均年齢38±14歳) を分析対象とした.排便パターンはあらかじめ基準をおかず排便状況が似ているもので分類し,排便日数,回数,便形,排便量から帰納的に各基準を抽出して「問題なし (n=147) 」「便秘 (n=51) 」「下痢 (n=13) 」「下痢と便秘 (n=8) 」と命名した.薬剤の服用者27名をのぞいた192名での分析においては,「便秘」の排便日数は平均3.5日/週であり,同時に便形や排便量も考慮して便秘かどうかが判断されていた.「下痢」は日数や量よりも泥状便,水様便があることが基準になると考えられた.性別では女性が,年齢では「20歳代」に便秘の傾向が認められた.
  • 蜂ヶ崎 令子
    2012 年 11 巻 2 号 p. 38-47
    発行日: 2012/08/20
    公開日: 2016/07/08
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,点滴スタンドを操作しながら歩くこと,およびその点滴スタンドの高さと支柱を把持する高さによって,中高年および高齢者の歩容はどのような影響を受けるのかを明らかにすることである.
     健康な60歳から70歳 (平均66.3歳,SD2.3) までの男性8名,女性33名 (計41名) を対象に,点滴スタンド歩行が歩容に与える影響を運動学的分析と主観評価より検討した.さらに,点滴スタンドをより安全かつ適切に使用するための,点滴スタンドの高さおよび支柱を把持する高さの設定について検証した.
     その結果,点滴スタンド歩行は通常歩行と比較して,歩行速度が低下し,歩幅が狭まり,歩調が減少し,腕振り角度が小さくなり,高齢者や転倒経験者の歩容に近づいていた.そのなかでも,歩容,歩行姿勢に及ぼす変化が最小であったのは,点滴スタンドの高さは使用者の身長の110%,支柱を把持する高さは使用者の身長の60%または70%の設定であった.また,主観的評価において操作性がよく,身体的負担が少ないと感じていることが分かった.点滴スタンド歩行は高齢者や転倒経験者の歩容に近づくこと,点滴スタンドの高さは身長の110%,支柱を把持する高さは身長の60%または70%が望ましいことが示唆された.
  • 北島 万裕子, 加悦 美恵, 飯野 矢住代
    2012 年 11 巻 2 号 p. 48-54
    発行日: 2012/08/20
    公開日: 2016/07/08
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,マスクを着用して発せられる看護師の声が,患者にどのような音として伝わっているかについて,マスク着用時と非着用時で比較し検討することである.対象は女子看護学生12名で,看護師役11名,患者役1名に振り分けた.方法は,検温場面を想定して看護師役の発する音声を録音し,音声分析ソフトPraatを用いて声質と音圧レベルを測定した.患者役には聞き取りやすさ等を調査した.結果,検温の測定内容について患者に話しかける場面ではマスク着用で声質に違いは認められなかったが,体温を測定する動作を伴いながら患者に脈拍数を伝える場面では,マスク着用時のほうがしわがれ声,かすれ声といった聞き取りにくい音声となっていた (p=0.076).6,000~8,000Hzの高音域では7名以上 (63%以上) がマスク非着用時の音圧レベルが高く声が大きくなっていた.患者役は,マスク着用時に「声がこもっている」「声が小さくなった」と感じていた.
     以上より,マスク着用時の看護師の音声は,他の動作を伴う際や高音域で話す際に聴こえにくい可能性が示唆された.
実践報告
  • 三本松 つる子, 城賀本 晶子, 赤松 公子
    2012 年 11 巻 2 号 p. 55-61
    発行日: 2012/08/20
    公開日: 2016/07/08
    ジャーナル フリー
     本研究は,嚥下障害をもつ脳血管障害患者に対し,新たに考案した含嗽に代わる口腔ケアの有用性を検討するためのパイロットスタディである.考案した口腔ケアは,口腔内清拭 (ブラッシングと拭き取りを行う) に加えて,口腔内の洗浄を行うものである.口腔内洗浄は,スポンジブラシと吸引チューブをガーゼで合わせ,スポンジブラシに水を含ませたあと,吸引チューブを吸引器と接続し,洗浄 ・ 吸引する手順で行った.口腔ケア時の患者の体位は半座位で45°側臥位,頸部前屈位とした.口腔内汚染度はATP測定値と視覚的印象によって評価した.
     口腔ケア前から口腔内清拭後,洗浄1~5回後の計7回のATP値について群内比較を行ったところ,口腔内清拭のみの場合とくらべ,洗浄を2~5回行ったあとのATP値が有意に低下していた.
     以上のことから,口腔ケアを単に清拭だけでなく洗浄も併せて行うことで,嚥下障害患者の口腔内汚染度を改善できる可能性が示唆された.試行段階ではあるが,含嗽のできない患者の口腔内の保清には,口腔内清拭後に洗浄を2回以上行うことを提案する.
  • 住吉 和子, 瀧川 佳恵, 長田 敏子
    2012 年 11 巻 2 号 p. 62-66
    発行日: 2012/08/20
    公開日: 2016/07/08
    ジャーナル フリー
     入院中の低ADLの高齢者を対象にした,腹臥位療法の効果については,精神機能と身体機能の改善など多岐にわたり報告されている.今回は,毎日腹臥位療法が実施できない状況にある在宅療養中の寝たきり療養者を対象に腹臥位療法を実施し,その精神機能および身体機能への効果について明らかにすることを目的とする.
     約5年間の療養生活で徐々に自発語が聞かれなくなった80歳代の寝たきり高齢者を対象に,週2~3回,合計14回,1回につき5~10分の腹臥位療法を実施した.腹臥位療法を開始した翌日から日中に覚醒している時間が長くなり,自発語が増え,周囲の状況にあった発言が聞かれるなど精神機能の改善がみられた.腹臥位療法の実施中,実施後のSpO2が有意に上昇し,1回の排便量が増加する傾向がみられたがADLの改善はみられなかった.
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