日本看護技術学会誌
Online ISSN : 2423-8511
Print ISSN : 1349-5429
ISSN-L : 1349-5429
原著
末梢静脈穿刺に効果的な上肢温罨法の検証
佐々木 新介市村 美香村上 尚己松村 裕子森 將晏荻野 哲也
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 12 巻 3 号 p. 14-23

詳細
抄録
 本研究の目的は,末梢静脈穿刺に効果的な上肢温罨法に関する検証である.
 健常人を対象に左肘窩部の肘正中皮静脈を評価血管として,温罨法の有無による血管怒張効果をクロスオーバー試験で比較した.上肢への温罨法は,肘窩部より末梢側に対して,加温部の皮膚表面温度が40±2℃になるように15分間実施した.静脈怒張の評価は,駆血圧の強さにも影響を受けるために,マンシェットを用いて60mmHgに統一した.その結果,皮膚表面温度,血流量,血管断面積とも有意に増加することが示され,温罨法による血管断面積の増加率は16.8%であった.また,指尖部皮膚表面温度が低下している場合,血管断面積の増加率が大きく,上肢温罨法を実施する際には,その適応を見極めることが重要であることも示唆された.以上より,40℃前後で15分間の上肢温罨法は,静脈怒張に有効であることが明らかとなった.
著者関連情報
© 2014 日本看護技術学会
前の記事 次の記事
feedback
Top