日本看護技術学会誌
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綿タオルと化繊タオルの細菌学的検討
松村 千鶴深井 喜代子
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2014 年 13 巻 3 号 p. 243-246

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抄録

 本研究の目的は,感染予防の観点から綿タオルと化繊タオルのどちらが清拭素材に適しているかを比較することである.タオル素材には,市販の使用前の綿タオル (未使用綿タオル),清拭で使用したあとに洗浄・消毒した綿タオル (再生綿タオル),市販の未使用の化繊タオル (湿性不織布),そして湿性不織布から水分と含有成分を除去した化繊タオル (乾燥不織布) の4種類を選んだ.これら4素材の一般生菌,大腸菌,黄色ブドウ球菌の生存数を,ペトリフィルム法を用いて調べた.その結果,一般生菌は,湿性および乾燥不織布ではほぼ陰性であったが,未使用綿タオルからは約260cfu/100cm2 (衛生上問題なし),再生綿タオルからは未使用時の10倍もの約2,360cfu/100cm2がそれぞれ検出された.一方,大腸菌と黄色ブドウ球菌は4素材いずれからも検出されなかった.本研究の結果から,わが国の臨床の場で多用されている再生綿タオルには感染予防上,無視できない量の一般生菌が棲息する可能性が示唆された.未使用・再生にかかわらず綿タオルに一般生菌が検出されたことから,再生綿タオルは感染予防の観点から安全な清拭素材でないことが明らかとなった.

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© 2014 日本看護技術学会
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