抄録
一般病棟における点滴スタンドの使用に関する実態調査から,点滴スタンド使用時の危険状況を明らかにし,より安全な点滴スタンド使用への示唆を得る.
全国で300床以上を有する一般病院37施設からの協力を得た.経験年数3年以上の看護師を対象に郵送法による質問紙調査を実施し,点滴スタンド使用中の危険状況や患者の転倒経験についてたずねた.1,110名に調査用紙を配布し,回収数660部 (59.5%),有効回答数629部 (95.3%) であった.352人 (56.0%) の看護師が点滴スタンドを他の用途で使用し,点滴スタンド使用中の患者の転倒を経験していたのは117人 (18.6%),転倒未遂を経験していたのは245人 (39.0%) であり,486人 (85.7%) が危険を感じることがあった.271人 (43.1%) が点滴スタンドに関する教育を受けておらず,88人 (14.0%) が使い方をよく知らないと答えた.以上の結果から,点滴スタンド使用時には,患者や環境が絡む多数の危険状況が存在しており,看護師への教育が必要であることが示唆された.