2017 年 15 巻 3 号 p. 281-286
薬剤の血管内投与に伴う静脈炎発症後の看護ケアとして, 20℃での冷罨法の有効性が明らかとなっている. しかし, 炎症抑制効果が得られる効果的な貼用時間に関するデータは得られていない. そこで本研究では, このような静脈炎に対し効果的な冷罨法の貼用時間を明らかにすることを目的とし, ラットを用いた基礎研究を行った. 薬剤を投与してラットの尾に実験的な静脈炎を作製後, 氷嚢の貼用時間を10分, または30分で冷罨法を施行し, 罨法を施行しない対照群と肉眼的所見, 腫脹, 組織学的所見について症状を比較検討した. その結果, 30分間の貼用によって, 10分間より明らかに強い腫脹抑制効果が認められた. したがって, 今回の実験条件においては, 静脈炎に対する冷罨法の効果的な貼用時間は30分間であると考えられた.