日本看護技術学会誌
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研究報告
三角筋内の腋窩神経の走行 : MRIを用いた生体データと解剖体データの比較
髙橋 甲枝清村 紀子
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2017 年 16 巻 p. 70-76

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抄録

 三角筋での筋肉内注射は, 腋窩神経損傷の危険性が指摘されるものの簡便性の観点から臨床では頻用されている. 先行研究において, 安全な三角筋筋肉内注射部位を特定するために解剖体から腋窩神経の形態学的データの収集がなされているが, 防腐処理された三角筋を骨格から切離した解剖体でのデータを生体に適応することが妥当であるという検証はなされていない. そこで, 解剖体データの生体への適応可能性を検討することを目的として, 磁気共鳴画像法 (以下MRI : magnetic resonance imaging) を用いて, 肩峰角から腋窩神経と伴行する後上腕回旋動脈までの距離を計測し, 現在までに収集した計44の女性解剖体の結果と比較した. 結果, 被験者5名の肩峰角から後上腕回旋動脈までの距離のMRIデータは解剖体の肩峰角から腋窩神経までの距離のデータと近似しており, 解剖体で得られた結果は, 生体での安全な注射部位を特定していくためのデータとして活用可能性が示唆された.

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© 2017 日本看護技術学会
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