2018 年 17 巻 p. 125-130
本研究は, 5分間と10分間のハンドマッサージの実施時間の違いによる生理的および心理的効果を明らかにすることを目的として健常成人女子学生23名を対象にランダム化比較試験を行った. 基本属性, ハンドマッサージ実施前後の体温, 脈拍, 血圧, 唾液アミラーゼ, 心拍変動スペクトル解析, 疲労・ストレス・リラックス度 (VAS) , 気分状態 (POMS) について調査した.
ハンドマッサージの実施前後で, 生理的指標では5分間群で脈拍と収縮期血圧が, 10分間群で脈拍と拡張期血圧が低下したが, いずれも数値の変化はわずかであった. 心理的指標では, 5分間群でVASの疲労度 (身体, 心理面) , ストレス度が低下し, リラックス度が上昇した. POMSの気分状態では, 緊張-不安, 抑うつ-落ち込み, 怒り-敵意, 疲労, 混乱が低下した. また, 10分間群ではPOMSの緊張-不安, 活気, 疲労が低下した.
本研究では, 5分間というごく短時間の実施でもリラックスなどの心理的効果が得られ, 看護の現場において短時間のハンドマッサージが有用である可能性が示された.