抄録
本研究の目的は, 国内外の手浴に関する2019年2月までに発表された文献において, どのような研究デザインや手浴方法が用いられているのかを整理するとともに, 手浴が心身へ及ぼす効果を明らかにすることである. PubMed, CINAHL Plus With full text, Cochrane Library, 医学中央雑誌, CiNiiにて文献検索を行った結果, 12件の文献が分析対象となった. 研究デザインには, RCTが3件, non-RCTが4件, 前後比較試験が5件用いられていた. 温度は39~42℃の範囲で設定され, 浸漬時間はほとんどの文献で10分が採用されていた. また, 浸漬部位は, 橈骨茎状突起部周辺までであった. 手浴には, 浸漬部位だけではなく, 浸漬部位以外の皮膚温を上昇させ, からだを温める効果があると推察された. また, 手浴後は浸漬部位の被覆が重要であり, 被覆することで手浴後の皮膚温の低下を防いでいた. 手浴中にハンドマッサージを取り入れることで, より効果的に温かさを感じてもらうことができるのではないかと考えられた.