抄録
本研究は, エビデンスに基づく看護ケアを検討するための基礎的な知見を得るためにラットの背部皮下にカテコラミン製剤を漏出し, 皮膚傷害を実験的に作製した後, 7日間皮膚の状態を経日的に観察するとともに組織学的検索も行った.
1日目の組織学的検索では, 潰瘍形成に至らない症例と潰瘍形成した症例が共通して皮下組織に急性炎症反応が認められ, 傷害像は7日目も持続していた. また, 皮膚傷害が重篤化した潰瘍形成の症例は, 1日目に皮下組織に多発性の血栓が確認され, 3日目も持続していたことから, 当該製剤の血管外漏出による潰瘍形成の一要因として, 多発性の血栓による持続的な循環障害が関与していることが新たに明らかとなった.
これらのことから, 当該製剤の血管外漏出時は肉眼的に正常であっても皮膚内部では傷害が持続するため, 注意深い観察を継続的に行う必要性が示唆された.