日本看護技術学会誌
Online ISSN : 2423-8511
Print ISSN : 1349-5429
ISSN-L : 1349-5429
原著
背部への清拭時に温タオルを10秒間貼用する効果の予備的研究
宍戸 穂杉村 直孝安田 佳永渡部 一拓紺谷 一生三浦 苑華矢野 理香
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 19 巻 p. 54-62

詳細
抄録

 本研究の目的は, 背部への清拭時の拭き取り前に温タオルを10秒間貼用する効果を, 皮膚のバリア機能 (角質水分量, 経表皮水分蒸散量 : TEWL), 清浄度 (皮脂量, アデノシン三リン酸値 : ATP値), 皮膚表面温度および主観的評価より明らかにすることである. 調査方法は, 準実験デザインとし, 健康成人13名 (平均年齢24.1±1.5歳) の背部において, 拭き取り前に温タオルを10秒間貼用する清拭 (10秒貼用清拭) と拭き取りのみの清拭 (貼用なし清拭) を実施した. その結果, 2つの清拭には, 皮膚バリア機能の指標である角質水分量, TEWLに有意差はなく, どちらの清拭ともに皮脂量およびATP値が有意に低下した. 以上より, 健康成人の背部への清拭を本研究における方法で実施する場合には, 10秒間の温タオル貼用の有無に関わらず, 皮膚バリア機能を悪化させずに実施前よりも清浄度が高まったと考えられた. 一方, 背部への10秒貼用清拭は, 皮膚表面温度を貼用直後に2.2℃上昇させ, 貼用なし清拭よりも乾拭終了15分後において気持ちよさを有意にもたらすことが明らかになった.

著者関連情報
© 2020 日本看護技術学会
前の記事 次の記事
feedback
Top