2021 年 20 巻 p. 57-67
本研究の目的は, 手指衛生の継続的な教育の導入に向け, 「正しいタイミング手指衛生プログラム」の実施による, 学生の手指衛生のタイミングの認識, 手指衛生行動, 手指衛生のタイミングの認識と手指衛生行動とのずれの有無への影響を明らかにすることである.
看護専門学校3年生26名を対象に, 介入前後に質問紙調査と手指衛生の遵守率の調査を実施した. 介入前後のタイミングの認識, 手指衛生行動は, Wilcoxonの符号順位検定にて比較し, 介入と, タイミングの認識と手指衛生行動とのずれの有無との関連は, Fisherの正確確率検定にて分析した.
その結果, タイミングの認識は, すべての項目で向上し, 有意差があった. 手指衛生行動は, 2. 清潔/無菌操作の前, 3. 体液曝露リスクの後では有意差がなかったが, 1. 患者に触れる前, 4. 患者に触れた後, 5. 患者環境に触れた後, 全遵守率で有意差があった. 介入と, タイミングの認識と手指衛生行動とのずれの有無に有意な関連はなかった. これらの結果より, 本プログラムは, 看護学生の手指衛生のタイミングの認識と手指衛生行動の向上に影響を与えることが示された.