2021 年 20 巻 p. 68-78
本研究の目的は, 筆者らが開発した「排便パターン分類フローチャート (加藤木ら, 2020)」の, 臨床における有用性を検証することである. 本フローチャートは便の形状, 回数, 排便日数を指標として, 2週間の排便状況から排便パターンを分類するものである. 自由意思で参加した急性症状がない通院・入院中の患者52名からの, 63件の排便記録を分析対象とした. 収集した排便記録について, フローチャートを用いて排便パターンを分類し, また自由意思で参加した看護師50人にも排便状況をアセスメントしてもらった. 両者の結果が異なった27件のうち22件 (81.5%) が, フローチャートの分類の方が排便状況を反映しており, 臨床における排便状況のアセスメントツールとして本フローチャートは有用と考えられた. 課題となったのは1週間がすべてゆるい便への対処と, 下剤の使用時のアセスメントで, これらへの留意を追加することで, さらに有用性が高まると考える.