2021 年 20 巻 p. 96-105
医療者不足を解消するため, 医療現場への情報通信技術 (ICT) の導入が進められている. しかし, 看護師の時間効率性に対するICT導入の影響については評価が分かれている. 本研究の目的は, 看護業務の詳細な基礎データを得て, 特に業務時間短縮の観点からスマートグラスの看護業務支援方法を検討することであった. 我々は都内の中規模病院にて, 2020年10月から12月にかけてビデオカメラを用いた入院業務のタイムスタディを6事例行い, その動画分析を行った. その結果, 入院業務は13のセクション (9つのルーチン業務, 4つの非ルーチン業務) で整理され, 非ルーチン業務の割合が大きいことが確認された. また, 入院時の記録業務は診療報酬関係記録と看護記録に分けられ, 記録方法が異なっていた. これらの結果は, スマートグラスを用いたタイムマネジメント, 業務進捗状況の共有, 記録入力の支援によって, 看護師の時間効率性が高まる可能性を示した.