2026 年 25 巻 p. 31-37
本研究は, 超音波診断装置B/Mモードを用いてオトガイ舌骨筋の運動時間を測定し, ヘッドレスト調整が嚥下時間に及ぼす影響を検討した. 対象は20~70代の健常成人22名 (男性16名, 女性6名) とし, ヘッドアップ30度のセミファーラー位でヘッドレスト角度を0度および50度に設定. 各条件で10mlの飲料水を嚥下し, オトガイ舌骨筋の運動時間を超音波診断装置で測定した. 0度と50度の嚥下時間の差を求め, 年代別に3グループに分け比較した. 結果, 50度での嚥下時間は0度より短縮した. これは, 頚部前屈により喉頭の移動距離が短縮し, 前頸筋群の緊張が緩和されることで嚥下運動に影響した可能性がある. 特に高齢者では喉頭下降が嚥下時間延長に関与したと考えられる. 本研究は, ヘッドレスト50度の調整が嚥下時間を短縮し, 嚥下機能の補助手段としての応用が期待されることを示唆した.