日本看護技術学会誌
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研究報告
遷延性意識障害患者の24時間の自律神経活動
佐竹 澄子
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2006 年 5 巻 2 号 p. 21-31

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抄録
 遷延性意識障害患者の自律神経活動の日内変動を捉えるとともに, 看護ケアの関わりについて検討する目的で, 遷延性意識障害患者3名に対して2回ずつ, 24時間心拍変動とアクチグラフを測定し看護ケアと患者の状態を観察した. 心拍変動は, 連続ウェーブレット変換により解析し, 高周波成分 (HF) を副交感神経の指標, 低周波成分 (LF) を交感神経, 副交感神経両方を含む指標とした. 自律神経活動からみた24時間の変化は, 事例1に昼夜の明確なリズムがみられた. 事例2, 3は, 規則的なリズムはなかった. HF成分が上昇した場面では, 事例1では傾眠状態と一致しており, 事例3では本人の好きなラジオを聴いている場面と一致していた. アクチグラフでの計測は, 休息期と判定された時間帯では HF成分の上昇がみられたが, HF成分の上昇部分がすべて休息期ではなかった. 以上から, 同じ遷延性意識障害患者の中でも, 生体リズムの有無があり, その中でも HF成分の上昇する場面は副交感神経活動が活発なリラックスした状態であると示唆された.
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© 2006 日本看護技術学会
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