2007 年 6 巻 1 号 p. 61-69
本研究は, 認知機能に低下があり転倒を繰り返す, または転倒経験があり再転倒の可能性が高い行動予測困難な高齢者に, 行動制限することなく転倒予防を行えることを目的に, 看護師が考案し, 臨床工学技士との連携で開発した Two-Way Call (TWC) の有用性を検討した. 対象は, 本研究に同意が得られた転倒を繰り返す, または転倒経験があり再転倒の可能性が高い高齢者8名である. 研究方法は, TWCにおいて, インターホンボタンをナースコールの差し込み部分に接続させ, 体圧などにより作動するボタン部分と従来通り使用できるナースコールが連結し, ナースコールが2双構造となったものを開発した. 導入までの手順は熟練看護師による転倒報告書の内容の検討, 対象の行動観察, TWC設置のための環境調整, TWCの設置, 設置後の作動方法の修正であった. 結果, TWCは高齢者の行動制限や生活習慣を損なうことなく, 設置後の転倒件数は1件のみと減少した. 以上のことから, TWCは転倒リスクの高い行動予測困難な高齢者に対し, 行動制限をすることなく,生活行動に応じて転倒予防ができることを確認できた.