抄録
移動援助に用いる主な看護用具の改良 ・ 開発の具体的な示唆を得ることを目的に, 主な看護用具の利用状況とその使用感, 問題点および工夫点を明らかにした. 同一県内, 200床以上の病院に勤める経験3年目以上の看護師を対象に, 8種類の看護用具について質問紙調査を行った. 調査票発送総数795通, 回収487通 (回収率61.3%) であり, 有効回答479通を分析した. 比較的新しい用具の使用経験は低く, 用具の存在を知らない者もいたが, 使用感の評価は高かった. 全体的に,各用具の6視点に対する使用感の評価はよかった. しかし, 延べ492件の自由記述には, 使用経験に基づく問題点の指摘や改良につながる具体的な意見が述べられていた. 用具ごとの特徴とともに, 重さ, 収納のしにくさ, 安全性など, 各用具に共通的な問題点も明らかとなり, よりよい援助に結びつく用具の改良 ・ 開発の有用な示唆が得られた. また, 情報および予算不足, 病棟構造上の問題により用具が更新されない状況にあることが推察された.