日本看護技術学会誌
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7 巻, 2 号
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総説
  • 江上 京里
    2008 年 7 巻 2 号 p. 4-11
    発行日: 2008/09/05
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
     現在実践で行われている温罨法については, 方法や対象がさまざまであり, これまでの温罨法の知見を統合し, 包括的に捉えていく必要があると考える. よってCooperの方法論を参考に温罨法の統合的レビューを行った. 医学中央雑誌 web版1983~2007年で 「温罨法」, そしてCINAHL web版1982~2007年で 「heat application」 で検索を行った. 論文の質を評価し国内文献は28件, 海外文献は5件を対象とした.
     結果, 温罨法はさまざまな対象 ・ 方法で行われていた. その成果は 「加温した局所のみではなく, より末梢の皮膚温や皮膚血流量にも影響」 すること, 「加温した部位はさまざまであっても腸蠕動が亢進」 すること, そして腰背部への温罨法は 「自律神経のバランスを整える」 ことが整理された. 心理的側面では 「温罨法の気持ちよさは, 身体的な感覚によるところが大きい」 ことが示された. 方法については, 「適用の温度が高ければ短時間」 実施する傾向があり, 成果指標は, 自律神経を主とする 「生理学的な指標」 が多くを占めていた.
研究報告
  • 櫻井 美奈, 植村 由美子, 水戸 優子, 牧野 美幸, 川守田 千秋, 山口 由子, 相馬 朝江
    2008 年 7 巻 2 号 p. 12-21
    発行日: 2008/09/05
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
     移動援助に用いる主な看護用具の改良 ・ 開発の具体的な示唆を得ることを目的に, 主な看護用具の利用状況とその使用感, 問題点および工夫点を明らかにした. 同一県内, 200床以上の病院に勤める経験3年目以上の看護師を対象に, 8種類の看護用具について質問紙調査を行った. 調査票発送総数795通, 回収487通 (回収率61.3%) であり, 有効回答479通を分析した. 比較的新しい用具の使用経験は低く, 用具の存在を知らない者もいたが, 使用感の評価は高かった. 全体的に,各用具の6視点に対する使用感の評価はよかった. しかし, 延べ492件の自由記述には, 使用経験に基づく問題点の指摘や改良につながる具体的な意見が述べられていた. 用具ごとの特徴とともに, 重さ, 収納のしにくさ, 安全性など, 各用具に共通的な問題点も明らかとなり, よりよい援助に結びつく用具の改良 ・ 開発の有用な示唆が得られた. また, 情報および予算不足, 病棟構造上の問題により用具が更新されない状況にあることが推察された.
  • ─コンセプトマップ作成を通しての学生の学び─
    浅川 和美, 筑後 幸恵, 冨田 幸江, 雑賀 美智子, 内藤 理英
    2008 年 7 巻 2 号 p. 22-29
    発行日: 2008/09/05
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
     構造学習法は, 認知心理学の理論に基づき, 学生が講義や演習で体験して得た情報を構造化させることにより, 論理的思考を育成させる学習法である. 構造学習法の第1段階は, 教師による授業内容の構造化, 第2段階は, 授業設計, そして, 第3段階では, 学習のまとめとして, 学生自身による学習内容の構造化 (コンセプトマップの作成) を行う. われわれは, 基礎看護技術の 「筋肉内注射」 の授業を, 構造学習法の第1段階から第3段階まで実施した. 本研究では, 第3段階に焦点をあて, 学生が作成したコンセプトマップの内容, および学生の感想を分析した. 学生は, コンセプトマップを作成することにより, 自己の学習内容を確認でき, 必要な知識を相互に関連づけ, さらに知識と技術の関連について理解していた. また, 看護技術の基本的または骨格となる目標や重要な概念を整理し, 確認できた. 今後は, 学生が既習の関連科目内容を想起して学習し, 看護技術の授業で教授される内容と関連づけて学べるよう, 事前学習内容を効果的に提示することや, 授業のすすめ方を工夫するなど, 第2段階を充実させることが課題である.
短報
  • 宮下 輝美, 矢野 理香
    2008 年 7 巻 2 号 p. 30-36
    発行日: 2008/09/05
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
     本研究は, 臨床での手浴の実施状況を明らかにするため, A総合病院の経験年数2年目以上の看護師248名に質問紙調査を実施し, 229名より回答を得た (回収率92.3%). その結果, 以下のことが明らかとなった. ①手浴の必要性の認識は高かったが, 実施頻度は低かった. また, 必要性の認識では, 経験年数による差はなかったが, 実施頻度は, 経験年数が長いほうが高かった. ②手浴は, 入浴ができず, 清潔動作が自立していない患者に実施していた. 目的は, 『手の清潔』 『温熱効果』 『爽快感が得られる』 『リラックス効果』で実施する割合が高かった. 体位は, ファーラー位,仰臥位, 坐位, 側臥位の順に実施することが多く, 所要時間は 10~15分, 湯温は 38~41℃未満で, 手浴を実施している割合が高かった. また, 『手の清潔』 『温かさ』に関連する項目で, 手浴の効果を認識している対象者が多かった.
特別寄稿
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