抄録
目的 : 観察方法を学習することを目的として作成した 「多重提示型視覚教材」 の効果を検証した.
対象および方法 : 看護技術を学び始めた看護大学 1 年生 24 名を対象とした. 「デモンストレーション教材」 (筆者が行う看護技術の映像) と 「多重提示型視覚教材」 (観察していることを文字, 矢印およびカメラ付きゴーグルで撮影した映像により説明された映像) を作成した. 用いた看護技術は臥床患者のシーツ交換であった. 対象者は両教材を見た後, それぞれ看護技術を実施した. 質問紙 (4段階評定) を用いて測定し, 比較した.
結果 : 【観察】 のスコア (質問項目 76 項目中 16 項目の得点の合計) は, 「多重提示型視覚教材」 学習後の中央値が高く, 有意な差を認めた. 【観察】 の各項目における得点の中央値は, 全 16 項目において 「多重提示型視覚教材」 学習後に有意に高かった.
結論 : 「多重提示型視覚教材」 を用いることで, 看護技術を学び始めた看護学生は 【観察】 の方法についての理解が促されることが示唆された.