日本看護技術学会誌
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研究報告
SEIQoL-DWを用いた家族介護者の Quality of Life
勝又 梢長谷川 美津子大西 美知子
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キーワード: 家族介護者, QOL, Cue
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2010 年 9 巻 2 号 p. 21-28

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抄録

 【目的】重度介護の在宅療養者を介護する家族の QOLについて,Schedule for the Evaluation of Quality of Life-Direct weighting (SEIQoL-DW) の評価尺度を使用し,家族介護者の QOLを明らかにすることを目的とする.【方法】対象者は同意の得られた,経管栄養療法実施中の要介護5の在宅療養者の家族介護者 (A群) 12名と都 D区内の地域高齢者 (B群) 16名である.方法は半構造化面接法により対象者が生活の中で最も大切なもの,と考えている事柄を 5つ聴取し,内容を代表する生活領域の名称 (Cue) をつけた.各 Cueの満足度レベルは VAS法で行い,重視度の測定は重みづけ専用回転盤 (ディスク) の面積比率 (目盛) の数値を用いた.QOL総合指標の SEIQoL-indexの算出方法は,各 Cueの満足度と重視度の積の和を 100で除し,合計した.【結果】Cueの頻度が10%以上を示した中で,満足度が最高値の Cueは A群「介護」,B群「家族」であった.重視度が最高値の Cueは A群「介護」,B群「自分の健康」であった.Cueの満足度と重視度が平均値以上の領域 (高満足 ・ 高重視域) には A群「介護」「家族」「配偶者への愛情」,B群では「家族」が区分された.SEIQoL-indexはA群62.6±16.7,B群 71.5±19.0であり,両群の差は認められなかった.【考察】家族介護者群は「介護」「家族」「配偶者への愛情」を大切に思って重視しており,満足感も得られていると推察される.介護中心の生活の中で介護者自身のレジャー活動等の制約はあるが,総合的な QOL指標は介護をしていない地域高齢者と比較して,低くないことが明らかとなった.

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© 2010 日本看護技術学会
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