抄録
本研究では,主観的睡眠感と心拍変動のパワースペクトル指標との関係性を検討した.健康成人女性10名を対象として,1人あたり2~3夜の調査を行い,のべ21セットのデータを得た.終夜睡眠ポリグラムからは総睡眠時間,実睡眠時間,入眠潜時および中途覚醒を評価し,心拍変動データの1分区分ごとの周波数解析結果からは低周波数成分 (LF),高周波数成分 (HF),LF/HF,HF/ (LF+HF) の睡眠深度別の平均値と一晩の平均値を算出し,これらの客観的指標値とOSA睡眠感得点の相関関係を求めた.その結果,LF/HFは第2因子「睡眠維持」,第3因子「気がかり」,第4因子「統合的睡眠」と負の相関関係が認められ,HF/ (LF+HF) はこれら3つの因子に加えて第1因子「眠気」とも正の相関関係があった.しかしながら,第5因子「入眠」は,いずれのパワースペクトル指標とも関係性が認められなかった.以上の結果より,HF/ (LF+HF) からは,主観的睡眠感のうちの入眠に関する評価は困難であるが,その他の睡眠感については評価できる可能性が示唆された.