2020 年 25 巻 1 号 p. 133-
【要旨】進行性多巣性白質脳症(progressive multifocal leukoencephalopathy、以下 PML)は JC ウイルス(以下 JCV)に起因する予後不良の中枢神経脱髄疾患である。多くのヒトにおいて幼少期にアーキタイプ(原型)の JCV が感染し、持続感染および潜伏感染が成立する。T細胞系の免疫が低下した患者等においてはプロトタイプ(変異型)の JCV が出現し、大脳白質等のオリゴデンドロサイトにおいて増殖することで PMLを引き起こすことがある。本稿では「JCV の変異と PML」を中心として、JCV の性状、感染様式、PML の発症機序、超高感度検査、ならびに JCV の変異タイピング等について概説する。