NEUROINFECTION
Online ISSN : 2435-2225
Print ISSN : 1348-2718
若手医師
合併した二次性水頭症により抗結核治療の有効性判断に苦慮した髄膜炎の1例
萩原 真斗岸田 日帯堀口 遼平山下 亮太郎木村 活生上田 直久田中 章景
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 25 巻 1 号 p. 139-

詳細
抄録

【要旨】症例は 44 歳男性。8ヵ月前から亜急性に頭痛、微熱、物忘れ等の症状が出現、慢性的に経過し、さらに異常言動、意識障害を認めたため入院した。意識障害、項部硬直から髄膜炎が疑われ、背景としての易感染性、長期間続く症状、画像所見、脳脊髄液所見から、結核性髄膜炎と考えた。しかし各種培養検査・Nested PCR・細胞診、生検でも病原体の同定にいたらなかった。抗結核治療で脳脊髄液細胞数は減少したが、意識障害等の改善は乏しく、水頭症に対する VP シャント術施行後に徐々に症状は改善した。診断・治療に苦慮した髄膜炎である本症例を提示し、二次性水頭症合併下で、結核菌を同定できていない段階での抗結核治療効果判定とその問題点について考察する。

著者関連情報
© 2020 日本神経感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top