2020 年 25 巻 1 号 p. 30-
【要旨】口腔常在菌は、歯科における2大疾患であるう蝕と歯周病の原因となっているのみならず、他臓器の疾患の原因菌として医学・歯学領域において注目されている。この総説では、最初にデンタルプラーク(歯垢)について、つぎに口腔常在菌が原因となる全身疾患の現状について概説する。さらに、脳膿瘍の主要な原因菌である Streptococcus intermedius の病原因子について解説する。最後に、口腔常在菌の定着機構の研究が最も進んでいるミティス群レンサ球菌の付着・定着因子について、おもにわれわれの研究の対象としているStreptococcus gordonii の Hsa アドヘジンについて概説する。