2020 年 25 巻 1 号 p. 87-
【要旨】難病 HTLV-1 関連脊髄症(HTLV-1 associated myelopathy、以下 HAM)は有効な治療法がなく、画期的な新規治療法が切望されているが、希少疾患ゆえに症例集積が困難で質のよいエビデンスに乏しく、治療薬開発の障壁となっている。これを打破するため、患者会への参加や HAM 専門外来を通して患者に協力を得て、検体バンクや患者レジストリを構築した。単なる症例集積に留まらず、検査データの診療への還元やHAM に関する情報提供を行い、「ともに疾患を克服する」意識と患者に参加するメリットが感じられる研究の実現に努めた。その結果、検体やデータ解析によりこれまで知り得なかった新しい知見を得ることができ、新規薬剤開発、診療ガイドライン作成など、HAM の治療に新たな変革をもたらした。