【要旨】エンテロウイルスは小児にさまざまな神経疾患を引き起こす神経病原性ウイルスの一つである。これらの神経病原性やその病態については患者死亡例の病理や非ヒト霊長類、新生仔マウス、あるいは遺伝子改変マウスなどの動物モデルを用いて理解されてきた。われわれはさまざまな神経向性エンテロウイルスの実験的感染による麻痺発症動物モデルとコクサッキーウイルス B2 感染マウスモデルを確立し、病理学的解析を行ってきた。本稿では、これまでの動物モデルから得られた知見を紹介し、エンテロウイルス感染による多様な神経感染症の発症病理について考察する。