2024 年 29 巻 1 号 p. 8-13
慢性活動性Epstein-Barr ウイルス病(CAEBV)は、持続する炎症症状に、EBV に感染したTもしくはNK 細胞のクローン性の増殖を伴う進行性の難治性疾患である。おもな症状は発熱、リンパ節腫脹、肝脾腫であるが、さまざまな臓器に感染細胞が浸潤し、多彩な臨床像を示す。特に神経症状は、単神経炎、慢性炎症性多発脱髄性神経炎、高サイトカイン血症に伴う意識障害、腫瘍としての浸潤など多岐にわたる。神経内科領域の医師への疾患周知は重要である。CAEBV は2017 年に改訂されたWHO 造血器腫瘍分類にT、NK 細胞腫瘍として記載されて以降、世界的に報告例が増えている。発症機構の解明と治療法開発が本邦の研究者に期待されている。