日本脳神経外科認知症学会誌
Online ISSN : 2436-0937
アルツハイマー病で出現しうる言語症状の多様性
伊東 民雄鷲見 佳泰森 大輔岡 亨治
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2023 年 3 巻 1 号 p. 20-30

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抄録

アルツハイマー病(Alzheimer’s disease: AD)には言語症状を主症状とする亜型があり、松田らは1)ロゴペニック型原発性進行性失語、2)喚語困難/漢字の健忘失書型超皮質性感覚性失語型、3)左側頭葉型(意味性認知症(semantic dementia: SD)様のAD)の3 つに分類している。本症例では全例70 才以上で、1), 2) については診断に困難さはなかったが、3)はSPECT, SLTA が未施行な症例もありSD との鑑別が困難であった。その場合AD/SD の鑑別診断の決め手としてSD に比べてエピソード記憶障害がみられ病識が乏しいことなどの症候学、SPECT で側頭葉先端部に限局せず前頭葉や頭頂葉の血流低下も認めることなどの画像所見を参考にして鑑別することになる。AD 本来の認知機能を知るためにも言語機能評価は重要で、AD の言語症状を理解することは有用である。

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© 2023 日本脳神経外科認知症学会
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