2023 年 3 巻 1 号 p. 44-47
【目的】特発性正常圧水頭症(以下iNPH)の剖検例を報告した。
【症例】75歳、男性。記憶障害、歩行障害、尿失禁が徐々に進行した。iNPHと診断し、脳室腹腔短絡術(以下V-Pシャント)を施行した。症状は大幅に改善したが、2年8カ月後、腎不全にて死去し剖検が行われた。
脳実質では海馬に老人斑、神経原線維変化を軽度認めた。橋にラクナ梗塞跡を認めた。髄液系では上矢状静脈洞近傍クモ膜顆粒の退縮、線維化を認めた。炎症性変化は認めなかった。側脳室脈絡叢上皮細胞はほぼ正常に存在した。
【結果、結論】iNPHの剖検例を報告した。クモ膜顆粒の退縮、線維化などの加齢的な変化を認め、病態を考える際、重要な所見と思われた。