日本脳神経外科認知症学会誌
Online ISSN : 2436-0937
認知症状で発症し血管内治療で改善が得られた硬膜動静脈瘻の一例
山城 享平壷井 祥史成清 道久広川 祐介山本 康平大橋 聡松岡 秀典長崎 弘和
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2024 年 4 巻 1 号 p. 14-19

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抄録

【はじめに】硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistulaDAVF)は頭蓋内動静脈奇形の1015%を占める疾患である。シャント部位や血行動態により多彩な症状を呈することが知られており、まれに認知症状で発症することもある。認知症を呈するDAVF の頻度は1.612.0%と報告されている。今回我々は認知症状で発症し血管内治療で改善が得られたDAVF 1 例を経験したため報告する。

【症例】患者は73歳女性、回転性めまいと徐々に増悪する認知機能低下を認めたため当院を受診した。 横・S 状静脈洞部にDAVF を認め、重度の静脈うっ滞を伴っていた。2 度の血管内治療によってシャント血流は著明に減少し認知機能の改善とそれに伴うADL の向上を認めた。

【考察】認知症の原因の一つとして硬膜動静脈瘻は重要な疾患である。硬膜動静脈瘻は脳出血を起こし致命的になる可能性がある一方で、適切な治療により認知症状の改善が期待できるため早期の診断と治療介入が重要である。

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