日本脳神経外科認知症学会誌
Online ISSN : 2436-0937
4 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • ~MR拡散テンソル画像による白質線維路のFA値評価
    丹羽 潤, 今泉 俊雄, 辺見 賢太郎, 澤村 結実, 加城 雄平, 松村 茂樹
    2024 年4 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/01
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    [目的]MR 拡散テンソル画像(DTI)を用いて大脳白質路で異方性拡散の指標となる異方性比率(FA)を計測し、主観的認識機能障害(SCI)と軽度認知機能障害(MCI)を早期に診断することの可能性を明らかにすることを目的とした。

    [症例と方法]症例はもの忘れ外来通院中の記銘力低下を認めた患者である。臨床的認知症尺度CDR から分類した。全例でDTI を撮影し、大脳白質線維の異方性拡散の指標となるFA 値を測定した。FA 値はDTI のカラマップ上で大脳白質線維路(左右鉤状束、左右後部帯状束、脳梁膨大部)の5 か所に関心領域を設置して計測した。

    [結果]今回、SCI 19 例、MCI 45 例、AD 37 例が割当てられた。健常群と比較して、SCI 群では左鉤状束の、またMCI 群では右鉤状束のFA 値に有意な低下を認めた。しかし両群ともに後部帯状束におけるFA 値の有意な低下は見られなかった。

    [結論]SCI 群およびMCI 群では健常群と比較して鈎状束のFA 値の低下つまり大脳白質における神経線維の構造変化を認めた。DTI を用いて大脳白質の変化を異方性拡散で定量化することで、これまで大脳皮質の変化と同様に認知機能の障害を早期から定量的かつ客観的に評価できうる指標であると示唆された。

  • 長崎 弘和, 野上 諒, 橋本 啓太, 成清 道久, 大橋 聡, 松岡 秀典, 壷井 祥史
    2024 年4 巻1 号 p. 9-13
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/01
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    嗅窩部髄膜腫は初期には症状を認めず巨大化して発見されることがある。症例は48 歳女性で、嗅覚障害、視力障害、認知機能障害にて発症した巨大な嗅窩部髄膜腫の一例である。腫瘍の全摘出術を行い認知機能障害の改善を認めた。嗅窩部髄膜腫による進行性の認知機能障害、嗅覚障害、自発性の低下は、アルツハイマー型認知症の初期症状と類似しており、両者の鑑別が必要である。さらに、認知機能低下に伴い患者の医療機関受診拒否の問題が指摘されている。本症例においても症状は出現していたが受診は行われず、最終的に家族による介護が困難となり救急搬送された。受診拒否は、適切な医療介入の遅延をもたらし治療機会を逸するリスクを高める。特に嗅窩部髄膜腫は摘出により症状改善が期待できるため初期段階で鑑別診断を行い治療介入することが望まれる。

  • 山城 享平, 壷井 祥史, 成清 道久, 広川 祐介, 山本 康平, 大橋 聡, 松岡 秀典, 長崎 弘和
    2024 年4 巻1 号 p. 14-19
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル フリー

    【はじめに】硬膜動静脈瘻(dural arteriovenous fistulaDAVF)は頭蓋内動静脈奇形の1015%を占める疾患である。シャント部位や血行動態により多彩な症状を呈することが知られており、まれに認知症状で発症することもある。認知症を呈するDAVF の頻度は1.612.0%と報告されている。今回我々は認知症状で発症し血管内治療で改善が得られたDAVF 1 例を経験したため報告する。

    【症例】患者は73歳女性、回転性めまいと徐々に増悪する認知機能低下を認めたため当院を受診した。 横・S 状静脈洞部にDAVF を認め、重度の静脈うっ滞を伴っていた。2 度の血管内治療によってシャント血流は著明に減少し認知機能の改善とそれに伴うADL の向上を認めた。

    【考察】認知症の原因の一つとして硬膜動静脈瘻は重要な疾患である。硬膜動静脈瘻は脳出血を起こし致命的になる可能性がある一方で、適切な治療により認知症状の改善が期待できるため早期の診断と治療介入が重要である。

  • 2024 年4 巻1 号 p. M1-M2
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/01
    ジャーナル フリー
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