NEUROSURGICAL EMERGENCY
Online ISSN : 2434-0561
Print ISSN : 1342-6214
内頚動脈瘤クリッピング術における頚部内頚動脈確保のための整容に配慮した安全確実な剝離方法
和田 孝次郎大谷 直樹豊岡 輝繁竹内 誠富山 新太戸村 哲山本 祐太朗熊谷 光祐藤井 和也森 健太郎
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2018 年 23 巻 1 号 p. 49-53

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抄録

 内頚動脈瘤クリッピング,特に傍前床突起部脳動脈瘤において,頚部での内頚動脈確保は安全に手術を行うために必須のテクニックである.しかしながら日本人の頚動脈分岐部は欧米人にくらべ1椎体高い傾向にあることが知られており,露出方法に習熟しておく必要がある.我々が行っている方法について報告する.頭部はクリッピングに適した角度に回旋する,術側と反対側に頚部をやや傾け頚部の皮膚にやや緊張を持たせる,術側肩下枕は頚部の操作する際に肩が邪魔になってしまうため挿入しない.皮膚切開は甲状軟骨上縁を走行する皮皺を利用する,この皺は後上方,乳様突起に向かうことが多く,頚動脈分岐の高さに応じ乳様突起に向かって皮膚切開を伸長することも可能である,また術後の美容上利点がある.この皺に沿い胸鎖乳突筋前縁2cm前方から後方に約5cmの皮膚横切開を置く.切開部より頭側の皮膚を胸鎖乳突筋の表面で剝離して皮膚フラップを作成し,胸鎖乳突筋前縁を確認したのち頚動脈三角に侵入する.頚動脈三角の一辺を構成する顎二腹筋後腹を十分に露出することが安全に頚動脈を露出するうえで重要なポイントと考える.露出後に頚動脈鞘を剝離翻転して内頚動脈を確保する.20例でこの方法に従って内頚動脈確保を行った.反回神経麻痺,舌下神経麻痺等の術後脳神経麻痺症状を合併した症例はなかった.術後問題となるような瘢痕を残した例は認めなかった.

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© 2018 日本脳神経外科救急学会
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