NEUROSURGICAL EMERGENCY
Online ISSN : 2434-0561
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妊婦の脳卒中における特徴と治療方法についての検討
青山 二郎稲次 基希石川 茉莉子山本 信二荒井 雪花早川 隆宣荻島 隆浩玉置 正史山村 俊弘新井 俊成澤田 佳奈三枝 邦康田中 洋次成相 直前原 健寿
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2020 年 25 巻 2 号 p. 217-223

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抄録

 妊婦の脳卒中に対する治療方針の決定・治療は困難を伴う.妊婦の脳卒中における背景,治療,転帰の現状を検討した.当院および関連施設で治療を行った妊婦の脳卒中全15症例(脳出血(ICH)7例,くも膜下出血(SAH)6例,脳梗塞(CI)1例,一過性脳虚血発作(TIA)1例)について後向きに検討した.妊娠初期(14週未満)に3例(ICH1例,SAH2例),妊娠中期(14週~28週未満)に8例(ICH4例,SAH2例,CI1例,TIA1例),妊娠後期(28週以降)に4例(ICH2例,SAH2例)が発症した.ICH・SAH発症の13例全例で外科治療が施行されたほか,虚血発症の2例中1例で血管内治療が施行された.脳外科手術を行い妊娠を継続した6例はいずれも妊娠中期以前に発症した症例で,児・母体共に全例救命できた.帝王切開後に脳外科手術をした4例はいずれも妊娠後期に発症した症例で,児は全例救命できたが,母体の死亡が2例あった.ICH・SAH 13例中母体の転帰良好(mRS0‒2)は7例(54%)であった.出血症例は母体の転帰不良に繫がるが,産科と連携して児の分娩方法・時期を検討し,積極的な母体への脳神経外科治療を行うことが重要であることが示唆された.

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© 2020 日本脳神経外科救急学会

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