栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
大豆蛋白質の消化度に及ぼす加熱の影響
林 寛有山 恒
著者情報
ジャーナル フリー

1957 年 10 巻 3 号 p. 134-137

詳細
抄録

(1) 大豆蛋白質の加熱による栄養価の差異をみるために, 蛋白分解酵素による人工消化試験法によつて各種加熱条件における大豆蛋白質の消化度を測定し併せて栄養制限因子たるmethionine, cystineおよびlysineの遊離度をそれぞれ時間的に測定した。
(2) 大豆蛋白質の消化度は時間と共に上昇し一般に湿熱によつて向上して110℃の加圧釜加熱は最も消化度が高く, ついで130℃の加圧釜加熱, 水煮沸の順となる。乾熱は対照の生よりむしろ消化が悪く, 特に150℃乾熱は最も低い消化度を示した。
(3) Methionineの遊離度は消化度とほぼ軌を同じくし, 110℃加圧釜加熱が最も高く生のものの約2倍に達し, 130℃加圧釜加熱および水煮沸がこれにつづいた。乾熱は生より低く150℃の乾熱は最低値を示した。
(4) Cystineおよびlysineの遊離度はmethionineと殆んど同一の傾向を示した。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top