栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
魚油の毒性に関する研究 (第9報)
松尾 登
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1958 年 10 巻 5 号 p. 255-259

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抄録
(1) 空気中において攪拌しながら, 225±10℃に10時間加熱して得られた熱重合油は, 過酸化物は極く微量であるに不拘, 20%程度白ネズミに投与すると著しい毒性を示す。(2) 更に, この熱重合油より, 尿素附加法を用いて分離した環状構造エチルエステルは, 20%投与の場合は2~7日にて, 白ネズミは総べて斃死し, 10%投与の場合に於ても10~14日にて何れも斃死する。(3) 然るに, 連鎖構造エチルエステルは何等毒性を示さず, その成長は極めて良好である。(4) 空気中における高温加熱による熱重合の場合は重合に空気中の酸素が関与するけれども, 矢張り環状構造のものの生成が進み, その結果, 炭酸ガス気流中において加熱した熱重合油と同様, 毒性を現わすに至るものと考える。(5) 熱重合油の毒性の主体は, 加熱によつて生成される環状構造化合物であると考える。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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