栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
二, 三市場蔬菜の栄養成分の変動と品質に関する研究
畑 明美緒方 邦安
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1962 年 15 巻 3 号 p. 161-166

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抄録

本研究は大阪中央市場を中心として市場に出廻るイチゴ, カボチャおよびトマトを材料として1960年実際市場に供された場合の栄養成分について分析し, 産地別, 季節別による成分変動と品質との関係について, 消費者の立場から考察すべく行なわれたものである。
(1)イチゴ:露地栽培である大阪物, 奈良物(幸玉), 温室栽培である庫物(宝塚四季成), 静岡物(福羽)イチゴにつき産地別, 時期別に測定した結果では, アスコルビン酸含量に多少の変異を認めたが, 一般成分には大きな差異はみられなかった。ただ粗蛋白および無機物についてはかなり巾のあることが認められ, 奈良物は大阪物に比べ粗蛋白は多いが逆に無機物が少なく, 酸度は静岡物が低かった。
(2)カボチャ: 岡山産カボチャ(東京芳香)につきはしり, 最盛期, 末期の各期に分析したが, アスコルビン酸プロビタミンA, 炭水化物にかなり著しい変異を認めた。すなわち初期に出廻るものはアスコルビン酸含量では高位を示すが, 水分多く, プロピタミンAおよび炭水化物含量は少なく品質的にやや劣るようであるが, 後期のもの程固形含量が多く, 特に非還元糖およびプロビタミンAの増量が著しい。
(3)トマト:トマトについては露地栽培の大阪物(福寿2号)露地抑制の愛媛物(古谷早生)およびフレーム栽培の静岡物(楊子)を用い, 各々入荷期別に測定したが総体的にアスコルビン酸は秋春物に多く, 夏物は低位を示し, プロビタミンAは逆に, 夏期のものに多かった。しかし, カロチノイド含量は四季を通じて一定の傾向はみられなかった。一般成分については夏期大阪物には粗蛋白が乏しく, 愛媛物に比較的多く, また静岡物では無機物の多いことが認められた。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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