1962 年 15 巻 4 号 p. 323-326
1各種オレンジジュースおよびアイスクリームにバントテン酸カルシウムを強化し, 製品のバントテン酸の残存率を試験し, 併せて官能審査を実施した。
2.オレンジジュースの場合, 100℃, 10分間の殺菌条件製品のpH 3.35ではバントテン酸カルシウムの初濃度, 63.4mg/100cc 程度であれば, 殺菌処理による分解が認められず, 37℃ に32日間保存したものも93.0%以上の残存率を示した。115℃, 10分間の条件で殺菌すると殺菌処理および保存中におけるバントテン酸カルシウムの分解は比較的大きく, 特に全糖製品について著しかった。
3.アイスクリームの場合, 実験室的規模で製したものは, 85日間保存しても最大10%の分解に留るが, 工業的規模で製造したものは, 64日後に26%分解した。
4.バントテン酸カルシウムの閾値を決定し, つぎに強化アイスクリームの官能審査を行なった。0.311g/kg程度の添加量であれば, 商品的価値は阻害されないことを認めた。