栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
日本人の人乳に関する研究(第3報)
東京, 大阪で採取した混合乳の脂肪酸組成について
斎藤 健輔近藤 敏今村 正男
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 15 巻 4 号 p. 327-333

詳細
抄録

東京ならびに大阪で冬期と夏期に採取した泌乳期別の混合乳について一般成分組成, 脂肪特数および脂肪酸組成を調べた。
1. 一般成分組成は夏期乳は脂質含量が高い傾向にあるが全蛋白質, 灰分には殆んど差はない。また全蛋白質含量は泌乳前期に多く, 徐々に減少する傾向にあった。
2. 脂肪特数ではヨウ素価が外国人人乳に較べ, 高い値を示した。
3. 脂肪酸組成では外国人人乳に較べ, カプリン酸, ラウリン酸, ミリスチン酸は多いが, ステアリン酸, オレイン酸は少なく, 特にリノール酸, リノレン酸が多かった。
4. 脂肪酸組成は季節別には差がなく, 泌乳期別では前期より後期にむかうに従い, C2=18の増加がみられたが著しい差はなかった。
5. 高脂肪含量乳と低脂肪含量乳の比較結果は前者が一般にヨウ素価が低く, ケン化価が高かった。また脂肪酸組成では低級飽和脂肪酸には殆んど差はみられなかったが不飽和脂肪酸, 特にリノール酸含量が前者は後者に比し低かった。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top