栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
そばの成分に関する研究 (第3報)
そばデンプンの性状 (その3)
古沢 康雄宮下 詮子
著者情報
ジャーナル フリー

1964 年 16 巻 6 号 p. 542-546

詳細
抄録
各地の夏そばおよび秋そば種実より調製した精製そばデンプンについて, 赤外吸収スペクトル, x線回折曲線およびアミログラムを測定して検討した。その結果,
(1) 夏そばおよび秋そばデンプンの赤外吸収スペクトルは, 小麦デンプンのそれとほとんど同様であった。
(2) 夏そばデンプンの結晶図型はおもにA図型であるが, 秋そばデンプンの結晶図型はしばしば第1環が弱く認められるのでC4図型に属することが多い。環境温度の相違によるものと考えられるので, 試みに夏そば1点を秋期栽培しデンプンの結晶図型を調べてみると, 非常に弱いが第1環が認められた。
(3) 秋そばデンプンのアミログラムにおいては, 一般に夏そばデンプンに比べて糊化点は低く最高粘度は高いという傾向を示した。
終りに御懇篤なる御指導を賜わっている東大教授桜井芳人博士, ならびに種々の御助言をいただいている阪大教授二国二郎博士に深謝の意を表する。また御指導御援助をいただいた農林省食糧研究所鈴木繁男博士, 根本芳郎技官その他の各位に厚く感謝する。
試料の赤外吸収の測定については東大農学部にお願いし, 一部のそば種実の分譲と栽培は長野県農業試験場長浦野啓司博士の御厚意によるものであり併せて感謝する
なお研究費の一部を恵与された財団法人糧食研究会ならびに日本麺類業組合連合会に対し厚く謝意を表する。
著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top