栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
ナスの色素について
永島 靖子平 友恒
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1965 年 17 巻 6 号 p. 420-422

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抄録

1. ナス10kgからアントシアン塩化物1.20gを得p.p.c. およびT.L.Cにより3種のアントシアニンを推定した。
2. アントシアン塩化物を加水分解してアグリコンと結合糖とに分け, それぞれのp.p.c. の結果からアグリコンはdelphinidinであり, 結合糖はブドウ糖である事を認めた。
3. c.p.c. により3種のアントシアニンを分別し, これらのp.p.c. および紫外線吸収の結果から, それぞれがdelphinidin-3, 5-diglucoside p-coumaric ester, delphinidin-3, 5-diglucosideおよびdelphinidin-3-gl-ucosideに一致した。
黒田および和田はナスの主な色素はdelphinidin-5-diglucoside p-coumaric esterであると報告しているが, これはdelphinidin-3, 5-diglucoside p-coumaricesterと同一の物質のように思われる。Robinsonらによればアントシアニンは鉱酸により部分的加水分解を起こす恐れがあるとの事からdelphinidin-3, 5-diglucosideはナスニンの加水分解によることもあり得るとも考えられる。

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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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