抄録
ソ菜のビタミンC含量におよぼす培地栄養条件, 特にホウ素栄養の影響, 並びに貯蔵による還元型ビタミンCの減少が受ける体内ホウ素濃度の影響についてしらべ, ビタミンCの生成, 酸化について考察を加えた。得られた結果は次の通りである。
1) ダイコン幼植物体ホウ素濃度乾物当たり22.7ppm~73.8ppm間で, ホウ素濃度の増加するにつれて, 還元型ビタミンC含量も増加した。
2) ポリエチレン袋に入れて室温 (20℃) に貯蔵した場合のビタミンC減少率はホウ素濃度の増加とともに低下し, 3℃に貯蔵した場合のそれとの差は減少した。
3) このことから, アスコルビン酸の酵素酸化系にホウ素が何らかの役割をもつものと思われる。
4) 冷蔵した場合還元型ビタミンC含量の減少は最も少なかったが, 冷凍貯蔵は, 大量の還元型ビタミンCを減少せしめた。
5) これは冷凍による組織内での氷結が溶解時細胞組織を破壊し, アスコルビン酸の減少を助長したものと思われる。