1967 年 19 巻 6 号 p. 443-448
鶏肉の白身肉, 赤身肉に無処理, 抗酸化剤処理, 抗酸化剤と醤油処理, 抗酸化剤と醤油とメチルセルローズ処理の4処理をほどこし, 常法にしたがって凍結乾燥製品を製造して, 窒素ガス充填, アルミラミネート包装して37°の悪条件で長期貯蔵した。各試料の中性脂肪の構成および遊離脂肪酸組成の貯蔵中における変化をガスクロマトにより分析, 試料脂質の酸化変質の状態を調べた。各貯蔵試料の変質の程度を恒数値の測定とTBA試験ならびにガスクロマトによる分析結果から追究した。凍結乾燥鶏肉の貯蔵に対する抗酸化剤の効果および醤油添加による相剰効果をみとめ, さらにメチルセルローズによる被覆も貯蔵に好結果を与えることがわかった。種々の実験結果から不飽和脂肪酸の多い鶏肉試料でも, 適当な前処理をして凍結乾燥し, 窒素ガス充填, アルミラミネート包装すれば37°の悪条件下での7カ月貯蔵後でも食品として問題となる変質は少なく良好であることがわかった。さらに醤油の製品におよぼす効果については抗酸化的作用の他に官能に訴える何らかの作用を推定した。