栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
治療食に関する研究 (II)
食品構成, とくに脂肪組成の変動による代謝位相への影響
上月 叡子
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1967 年 20 巻 3 号 p. 223-228

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抄録
今回の実験において標準カロリー2,200Calと低くし, カロリーによる差ならびに前回同様食餌内容の差 (主として, 動物性と植物性の差) による生体代謝上に及ぼす影響を検討し, 以下のごとき成績を得た。
1. 血糖値: 高カロリー食では上昇傾向であったが, 今回の標準カロリー食では一旦, 急速な下降を示し, 動物性脂肪を多くした期間後期には上昇し, 植物性脂肪を投与した期間に入り再び下降, バランスを普通食に戻しても下降を示した。
2. 血清蛋白: とくに標準カロリー食では動物性脂肪食投与時に著しい動揺下降傾向を示した。
3. 血清蛋白組成比: 一般に動物性脂肪投与期間中は高値を示し動揺するが, 槙物性脂肪投与期間下降, 普通食投与により被検前値に戻る傾向であった。
4. 尿中クレアチン, クレアチニン排泄量: 動物性脂肪投与期間では平衡状態, 植物性脂肪投与期間では明らかな下降傾向を示した。
食餌療法についての基本的概念としては栄養素内容の他, 摂取総カロリーの影響をも十分考慮せねばならない。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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