栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
Protein Scoreの実用化に関する考察
とくに病人の食餌について
井上 哲夫野副 真弓桂 英輔
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1968 年 20 巻 5 号 p. 368-372

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抄録
蛋白の質の表現に, FAO PSのように人間の各必須アミノ酸の必要量のPatternを基準としたものと, 卵A/E比のように食品の各必須アミノ酸の総EAA量に対する比率を基準としたものと, その他いろいろのものがあり, そのいずれがよいかはにわかに断じ難く, われわれが卵A/E比, E/Tのみを用いたことは問題点として残っている。さらにわれわれが蛋白の良否の判定に用いた各EAAの必要量も今後の研究課題であり, とくに井上のMet., Phe. の必要量はCys., Try. の存しない時の値であり, Cys., Try. が存すればその必要量はすくなくなることが考えられるがその値は不明である。しかもCys., Try. の存しない食餌は考えられず, 本報告の蛋白良否の判定にも問題点がある。しかし, この前提条件において, 総EAA量ないし蛋白量にScoreをかけた値が, 同じ摂取蛋白量の領域でEAA不足の有無を比較的明瞭に区分し得た事実は注目されるべきである。
将来, 先述の問題点の値が変るとしても, 病人の食餌で摂取蛋白量を増すことのできない場合, このようなScoreの活用によって蛋白の質の改善を計る試みは当然なされるべきであり, ここに広義のProtein Scoreの実用化の意義が存すると信ずる。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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