抄録
アミノ酸欠乏の一般的影響としては, 体重減少, 造血機能の減弱, 貧血, 血清タンパク質減少などの現象としてあらわれ 一種の必須アミノ酸が欠けても食欲減退などの影響が現われてくることは知られていることであるが, 放射線障害とアミノ酸栄養についてみても放射線障害時およびその回復期ともにアミノ酸栄養のバランスが重要であり, 特にトリプトファン, ロィシン・イソロィシン, バリン, ヒスチジンなどが造血機能の回復に重要な役割を果たしているであろうという結果を得た。核実験による放射能被曝および原子力平和利用の発展に伴う事故などによる被曝を無視できない今日, 食生活においても良質のタンパク質を摂るようにつとめることは体位向上の目的のみならずこの意味においても留意すべき問題であると思われる。