栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
ISSN-L : 0021-5376
人体密度ならびに体脂肪量の年令別推移について
蜂須賀 弘久水野 勇山岡 誠一吉村 寿人
著者情報
ジャーナル フリー

1970 年 23 巻 1 号 p. 46-50

詳細
抄録

筆者らの考案した成人用ならびに幼少年用の水中体重ならびに肺残気量の測定要領に従い, 7才から22才にわたる幼, 少, 青年を対象として測定を行ない, Döbelnの式を用いて人体密度を, さらにKeysの式を用いて体脂肪含有率を推算し, 年令別の発育推移を観察して次の結果を得た。
(1) 人体密度は幼年期に低く, 身体の発育にともなって増大し, 16, 7才ごろに最高となり, 以後ほぼ一定ないしは僅かに低下の傾向を示した。
(2) Keysらの式で算出した体脂肪量 (体重に対する%) は人体密度と逆比例の関係にあって, 16才ごろまでは発育にともなって減少し, それ以後は増大する。しかし年令とともに体重が増大するために, 体脂肪総量としては徐々に増大し, 16才を過ぎると増加が大きくなる。
(3) 以上の結果から16, 7才ごろまでの体重の増大は除脂肪体重すなわち体実質の増加であり, それ以後は除脂肪体重とともに体脂肪量の増加をともなっている。
(4) Rohler指数の高いもののうちには筋肉太りのものがいるために, これと体脂肪含有率 (人体密度) との相関は+0.4 (-0.4) の程度であって, 脂肪太りの判定にはRohler指数のみでは十分ではない。また体脂肪量と皮下脂肪厚の相関は0.5-0.6程度で部位によって異なり, ウエスト側腹および大腿部では0.60以上の相関がみられた。

著者関連情報
© 社団法人日本栄養・食糧学会
前の記事 次の記事
feedback
Top