栄養と食糧
Online ISSN : 1883-8863
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果菜類 (きゅうり, プリンスメロン, おくら) の生育とビタミンCの分布
北川 雪恵
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1972 年 25 巻 5 号 p. 436-442

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抄録
果菜類のうち, きゅうり, プリンスメロン (うり科), おくら (あおい科) を用いて部位別, 組織別, 時期別のV.C量の変化について検討した。
(1) きゅうりの一果平均V.C量 (mg%) は生育と共に減少した。部位別には先端に近いほど, また組織別では種子を含む胎座部が皮部・果肉部より多かった。このことは全期間を通じて変らなかった。また, 皮部・果肉部のうちでは皮部は果肉部より常に多く, かつ他の部分とは逆に収穫適期を過ぎる時期に激増した。
(2) プリンスメロンの一果平均V.C量は初めは生育と共に減少するが, 完熟期になると逆に急激に増加した。つぎに, 上下部位別の差異を果肉部についてみれば, 生育の初期には基部に多いが, 収穫期ではほぼ同じに, 完熟期では果頂部に著しく多くなった。また, 収穫期における組織別の分布をみると, 皮部に最も多く胎座・種子部がこれにつぎ, 果肉部が最も少なかった。また果肉中では橙色部の方が緑色部より多かった。しかし, 成熟と共に皮部および果肉部では増加し, 胎座・種子部では減少した。
(3) おくらのV.C量は幼果期に多く, 生育に伴って減少した。部位別には先端に近いほど, 組織別では胎座・種子部が果肉部より多かった。
(4) 酸化型Cについても, 調査対象とした3種の果実のいずれも部位別, 組織別, 生育時期別差異が顕著であり, その順位は総Cの場合とほぼ同様であった。
(5) 単位乾燥物当たりのV.C量を求めたところ, プリンスメロンの収穫期以後を除いては, いずれも生体重当たりの場合と概ね類似の傾向がみられた。
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© 社団法人日本栄養・食糧学会
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