抄録
ディスク電気泳動法で, 小麦粉の水溶性たん白質を十数本のバンドに分けることができた。アミドブラック10Bでゲルを染色した場合, 呈色の強さと実際のたん白質含量とが比例しないことが認められた。バンドNo. 5はかすかにしか認められない微少バンドであるが, そのたん白質含量は主バンドのそれに近い。バンドNo. 5のたん白質と色素との結合能は主バンドのそれの1/5~1/6であった。バンドNo. 5はグルタミン酸とプロリン含量の高いグリアジン様のたん白質であった。
泳動後, ゲルを10%三塩化酢酸に浸すと, アミドブラック10B染色法で得られたバンドとほぼ同じ位置に鮮明な白濁バンドを検出した。各バンドの相対的な濃度は, 実際のたん白質量をかなり正確に示していることを認めた。この方法で, 強力粉, 中力粉, 薄力粉の水溶性たん白質のディスク電気泳動パターンに差のあることを認めた。